教科書

業務1つを、8つの章で前に進めます。各章の要点は、触って確かめられます。本文と持ち帰り課題は勉強会で。

地図。タップで章へ

第0章 導入:この本の終わりに、あなたの業務が1つ減っている

終えると:この本で何が起きるかが分かり、自分の会社の Google Workspace のプランが言える

あなたの会社の Google Workspace は? タップして確かめる

Gemini が使える場所:Gmail の中と、Gemini アプリ(gemini.google.com)。ドキュメントやスプレッドシートの中では使えない。

次の一手:そのまま進めます。第5章は、Gemini アプリにコピーして実行します。買い足しは要りません。Standard に上げるかは、第7章の数字が出てから。

確認日:2026年9月24日。プランの中身は変わります。公式のプラン比較/補章B プラン別できること表

0-1 この本の約束

業務1つ、数字で。やらないことも

この本は、AIの解説書ではありません。

あなたの会社の業務を1つ選び、それをAIに任せて、かかっていた時間がどれだけ減ったかを数字で出す。そこまでを一緒にやる本です。

判断の要点

  • 扱う業務は1つだけ。 2つ目は、1つ目の数字が出てから。
  • 成果は時間で測る。 月に何時間減ったか。感想ではなく数字で。
  • 新しい道具は買わない。 今使っている Google Workspace と、その中の Gemini で始める。

逆に、この本がやらないことも先に言っておきます。最新機能の紹介はしません。「画面のどこにボタンがあるか」のような操作手順も書きません。半年で変わるからです。そのかわり、何を貼って、何を頼み、出てきたものをどう確認するかは、全部書きます。ボタンの位置は Google の公式ページが一番正確で、一番早く更新されるので、必要なところで公式ページへの案内を置きます。

なぜ1つだけなのか。途中でやめないためです。よくあるのは、「AIで業務全体を効率化しよう」と始めて、何から手をつけるか決めきれずに止まるケースです。1つに絞れば、勉強会4回と、その間の「測る週」2回・「工程表を作る週」1回を足して、約2か月で結果が出ます。結果が出れば、2つ目は自然に始まります。

なぜ数字なのか。「便利になった気がする」では、続ける理由にも、社内で広げる理由にもならないからです。「月に6時間減った」と言えれば、その6時間を何に使うかを決められます。数字があると、続けるか広げるかを自分で決められます。

この順番で、毎日の入力と集計の時間を減らした会社の話を、この章の終わりに載せます。

0-2 進み方

4回・約2か月の時間割

この本は第1章から第8章まで、1つの業務を前に進める順に並んでいます。今日は地図と第1章だけ見て、続きは勉強会で進めてもかまいません。順番だけは変えずに。

各章は同じ形をしています。

  1. この章を終えると何ができるか
  2. 図解1枚
  3. 判断の要点(3つまで)
  4. 手順
  5. よくあるつまずき
  6. 持ち帰り課題
  7. できたかの判定
  8. 公式に任せる(リンク先と、その対象者)
  9. 関連レシピ・部品

分からない言葉が出てきたら、補章A「AIの言葉、最小限」を見てください。この本で使う専門用語は10語だけです。

「持ち帰り課題」は、第7章で引く数字を残すための部分です。どれも1回で終わる量にしてあります。

第2章の後と、第6章の後(第7章に入る前)に「1週間測る」が入ります。始めと終わりの時刻をメモするだけで、机に座る時間は増えません。ここだけは省けません。

手を動かす時間は、全部で10時間前後が目安です。半分は第5〜6章の「やらせてみる」に使います。読むだけなら、1章5〜10分です。

勉強会で使う場合は、1回90分・4回に分けて進めます。

回 章 回の終わりの状態 次回までの課題
1回目 第0〜2章 業務が1つ決まり、測り方が分かる 導入前の時間を1週間測る
2回目 第3〜4章 データの仕分けと、工程表ができる 社内ルール1枚と工程表を仕上げる
3回目 第5〜6章 1回やらせてみて、直し方が分かる 実務で1週間使い、導入後の時間を測る
4回目 第7〜8章 削減時間が1つ出る。2つ目が決まる 2つ目の業務で、第1章から回す

1回目と3回目の後に、測る1週間が入ります。2回目の後は、社内ルールと工程表を仕上げる週です。ひとりで読む場合も、この区切りで進めると無理がありません。

0-3 道具とプランの確認

上の4択で確かめられます

使う道具は Google Workspace と、その中に入っている Gemini です。Gemini は、Gmail やスプレッドシートの画面にすでに入っている Google のAIです。ChatGPT の Google 版、と思ってかまいません。すでに会社で Google Workspace を使っているなら、追加で買わなくても始められます。

ただし1つだけ、先に確認してほしいことがあります。あなたの会社が契約している Google Workspace のプランです。プランによって、Gemini が使える場所が違います。

プラン Gemini が使える主な場所(2026年9月24日時点)
Business Starter Gmail の中と、Gemini アプリ(gemini.google.com)。ドキュメントやスプレッドシートの中では使えない。使える範囲の詳細は補章Bと公式ページで
Business Standard 以上 Gmail・ドキュメント・スプレッドシート・スライド・Meet など、ほぼすべてのアプリの中

この違いは第5章「どこで実行するか」に直接ひびきます。だから、ここで確認しておきます。

Starter でも、この本は最後まで進められます。 届いた内容を Gemini アプリにコピーして整える手順(レシピ01)を使うだけで、買い足しは要りません。Standard に上げるかどうかは、第7章の数字が出てから考えれば十分です。

手順:プランの確認

  • 管理者なら、管理コンソール(admin.google.com)の「お支払い」→「サブスクリプション」にプラン名が出ています。
  • 管理者が別にいるなら、その人に「うちの Workspace のプランは何ですか」と聞くだけで十分です。
  • 販売店(Google 以外の会社)から請求書が来ているなら、その販売店に聞くのが一番早いです。
  • Google Workspace をまだ使っていない会社は、Starter から始められます。料金は下の公式ページで。

よくあるつまずき

  • 会社のメールアドレスが @gmail.com で終わる。 それは無料の個人アカウントで、Google Workspace ではありません。持ち帰り課題は「使っていない」に○をつけて、Starter 前提で読み進めてください。
  • 管理を外部の業者に任せていて、その場で分からない。 持ち帰り課題の「不明」に○をつけ、次回までに誰に聞くかだけ決めてください。
  • Gemini のマークは見たことがあるが、それがAIだと思っていなかった。 それで正常です。第5章で初めて使います。

もう1つ、Claude という別のAIが第6章で出てきます。ただしそれは「Gemini でうまくいかないときの選択肢」としてです。最初から2つの道具を覚える必要はありません。今は Gemini だけで進めます。

0-4 実例:月300時間

現場20人と管理1人の会社の話

数字の話を、実際の例で1つ。作成者が実際に関わった会社の話です。社名と業種は出しません。

ある会社では、現場の担当者20人が毎日、その日の成果の数字を手で入力していました。1人あたり1回20分。入力先はフォームや別々のスプレッドシートで、形はそろっていません。20人分で、月に約200時間です。

その数字を、管理の担当者1人がまとめていました。ばらばらの入力を管理表に写し、形を整え、確かめる。この作業に、月に約100時間。現場と管理を合わせて、月に約300時間かかっていました。

やったことは3つです。

  1. 数字が入ったら、決めた形の管理表に自動で集まる部品を作った。部品は Google Apps Script で書き、書き方は Gemini に相談しながら進めた。
  2. 「担当者に意識してほしい数字」だけは、今までどおり人が入力する形で残した。
  3. 月に1回のチェックは、人が見る。

人がやるのは、意識してほしい数字の入力と、月次の確認だけになりました。空いた時間は、現場の20人で月に約200時間。管理の担当者で月に約100時間。合わせて月に約300時間、年にすると約3,600時間です。

ここで大事なのは、全部を自動にしなかったことです。どこを人が残すかを決めるのが第4章で、この会社もそこに一番時間を使いました。迷ったのは「ほぼ自動にできる中で、どの数字は人が打ち続けるべきか」でした。答えは、担当者に意識してほしい数字と、月次のチェックの2つです。

この本の章の順番は、この会社が通った順に合わせています。第1章から第7章で業務を1つ、第8章でこの会社が使ったような「自動化の部品」を扱います。

持ち帰り課題

書き込み欄1枚

自分の会社の Google Workspace のプランを確認して、ここに書き込んでください。

書き込み欄

プラン:( Business Starter / Business Standard / Business Plus / Enterprise / 使っていない / 不明 )
確認した日:  年  月  日
確認した方法:( 管理コンソール / 管理者に聞いた / 販売店に聞いた / 請求書 )
不明の場合、誰にいつ聞くか:

できたかの判定

チェック1つ
  • ☐ 自分の会社のプラン名が言える。または、確認先と期限が決まっている

これだけです。第1章へ進んでください。

公式に任せる

Google の公式ページ
  • Google Workspace のプラン比較・料金(全般向け):workspace.google.com/pricing
  • 管理コンソールでの契約内容の確認(管理者向け):Google Workspace 管理者ヘルプ「お支払いアカウントにアクセスする」

※プランの中身は変わります。この章の確認日は2026年9月24日です。迷ったら公式ページを正としてください。

関連レシピ・部品

次に読むもの
  • 補章A AIの言葉、最小限
  • 補章B プラン別できること表
  • レシピ01 届いた内容をスプレッドシートに転記する時間を減らす(Starter の手順あり)

第1章 業務を1つ選ぶ

終えると:任せる業務が1つ決まり、業務名と頻度を1行で言える

あなたの業務は、どのマスに入りますか。2つ答えると、判定が出ます

どのくらいの頻度?
毎回、同じ形?

最初に選ぶ。ここから1つ。回数が多くて型があるので、早く数字が出ます。

注文の転記日報のまとめ問い合わせ返信議事録の整理在庫の確認

3つ目の条件:間違いを確認で直せる業務だけを選ぶ。支払い・契約・法律の判断や、社外に出せないデータが中心の業務は、最初の1つにしない。

PC・印刷用の元の図(A4横)を開く

次:第2章 今かかっている時間を測る →地図へ戻る

第2章 今かかっている時間を測る

終えると:第1章で選んだ業務に、今、月に何時間かかっているかが数字で出ている

今、その作業に月に何時間かかっていますか。入れてみる

月あたり10.8時間年 130 時間 = 営業日 16 日分

式:週の回数 × 4.33 × 1回の所要分 ÷ 60。4.33 は1か月の週数。営業日は1日8時間で換算。この数字が、第7章で引く相手になります。

1週間、同じ業務を、同じ人が測る始めと終わりの時刻をメモするだけ概算でいい盛らない

測定テンプレートをコピーする PC・印刷用の元の図を開く

次:第3章 その業務のデータをAIに渡していいか →地図へ戻る

第3章 その業務のデータをAIに渡していいか

終えると:第1章で選んだ業務のデータを「渡す・条件つきで渡す・渡さない」に仕分けし、社内ルールが1枚できている

そのデータ、AIに渡していいか。3つに仕分ける

渡す

受信日品名数量希望納期備考

そのまま貼ってよい

条件つきで渡す

会社名担当者名

会社契約の Google Workspace のアカウントで実行する。個人アカウントや無料版には貼らない

渡さない

電話番号住所口座番号パスワード

貼る前に削る。出力の列にも入れない

会社契約の Gemini は、入力した内容が人に見られず、許可なく学習にも会社の外にも使われません。根拠は Google の公式ページ(資料の補章B)。

PC・印刷用の元の図を開く

次:第4章 どこまで任せて、どこを自分が残すか →地図へ戻る

第4章 どこまで任せて、どこを自分が残すか

終えると:第1章で選んだ業務が工程に割れ、どの工程をAIに任せ、どこで人が見るかが決まっている

全部は任せない。工程に割って、人が見る場所を決める

任せる(AI)確認する(人が見る)自分がやる

工程 1

届く

今まで:メールを開く

自分がやる

工程 2

読んで拾う

今まで:本文から目で探す

任せる(AI)

工程 3

確認する

今まで:打ちながら見る

確認する(人)

工程 4

入れる

今まで:手で打つ

自分がやる

人が残すのは「確認する」。ここを残すから、安心して任せられる。

PC・印刷用の元の図を開く

次:第5章 指示の型で、まず1回やらせてみる →地図へ戻る

第5章 指示の型で、まず1回やらせてみる

終えると:第4章で「任せる」にした工程を指示の型で1回やらせてみて、出力が1回分、手元にある

覚える型は1つだけ。5つの部品でできている

役割あなたは事務担当のアシスタントです。
目的下のメール本文から、注文内容を表に整えてください。
材料【ここにメール本文を貼る。署名欄の電話番号・住所は削ってから】
出力の形出力は、次の列の順で「見出し行+1行」の表の形にしてください:受信日/会社名/担当者名/品名/数量/希望納期/備考
ダメな例数量が書いてないのに「1」と入れる。担当者名が無いのに会社名から推測して埋める。
制約この本文に書いてある情報だけを使ってください。分からない項目は空欄にしてください。

1回目は70点でいい。直すのは第6章。出力はそのまま使わず、第4章の「確認する」へ。

PC・印刷用の元の図を開く

次:第6章 うまくいかない時の直し方 →地図へ戻る

第6章 うまくいかない時の直し方

終えると:第5章の出力が使える形になっている。または「この業務は任せない」と決めている

出力が使えない。原因はこの3つのどれか。タップして直し方を見る

材料不足渡した文に、必要な情報が入っていない

直し方:例を1つ足す。「こういう入力なら、こう出す」を1組だけ見せる。

指示が曖昧何をどの形で出すかが決まっていない

直し方:出力の形を決める。列の順や行数を指定する。長い頼みごとは分けて頼む。

道具が合っていない3手を試しても、Gemini では届かない

直し方:道具を替える。Workspace の中の軽作業は Gemini。長文の設計・複雑な指示・ツール作りは Claude(別契約)。

それでも無理なら、任せる範囲を戻す(第4章の工程表へ)。「任せない」と決めるのも正しい結果。

PC・印刷用の元の図を開く

次:第7章 導入後を測って、差を出す →地図へ戻る

第7章 導入後を測って、差を出す

終えると:導入前と導入後の差が数字で出て、この本のゴールである削減時間が1つ手元にある

ゴール。導入前と導入後を引いて、差を出す

削減時間6.0時間/月(年 72 時間)

数字の例は架空。減っていなければ「減っていない」と書く。それも結果。

第2章と同じテンプレート・同じ人・同じ1週間確認の時間も、導入後に含める盛らない

PC・印刷用の元の図を開く

次:第8章 次の業務へ広げる →地図へ戻る

第8章 次の業務へ広げる

終えると:2つ目の業務が決まり、広げ方が分かっている

2つ目は、1つ目の隣から。3つ目は、2つ目の数字が出てから

同じ人

測定者が同じ。例:問い合わせ返信

同じデータ

材料が同じ。例:同じ注文メールから作る日報

前後の工程

工程表の隣。例:確認済みの行を入れる工程

誰が教えても同じ結果にする、3つの単位

教科書

順番と判定を固定する

測定テンプレート

数字の出し方を固定する

自動化の仕組み

毎回の手作業を固定する。確認する工程は人が残す

自動化の仕組み(Google Apps Script の小さなプログラム)は第8章から。無料版の Gemini API に、実務のデータは流さない。

PC・印刷用の元の図を開く

勉強会に申し込む →地図へ戻る